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■滋賀県の治水対策を視察

 日本共産党県議団の水野純次、藤本一規、久米慶典の3県議と、吉田達彦事務局長は11月27日、ダム建設を最優先する治水対策を大幅に見直し、ダム建設計画を次々に中止している滋賀県の取り組みを視察するため、滋賀県大津市の滋賀県庁を訪れました。

 県議会棟で、議会事務局の平井政一政務調査室長から滋賀県の概略説明を受けたあと、土木交通部河港課の松瀬佐二郎課長補佐、同河川開発課の板谷甚嗣郎課長補佐から治水対策の基本方針や当面の河川整備方針についてレクチャーを受けました。

一級河川が506もある滋賀県

 近畿地方の水がめである琵琶湖をかかえる滋賀県には506もの河川があり、すべて一級河川に位置づけられています。滋賀県はこの間、10年確率の治水安全度の確保を目標に河川改修事業をすすめてきましたが、目標達成にはなお、膨大な予算と時間がかかることが懸念されていました。

治水方針を大きく見直し

 2006年7月に行われた知事選挙で、「ダムの凍結・見直し」を公約した嘉田候補が知事に当選したことも一つのきっかけとなり、治水対策に大きな変化が生まれています。

 滋賀県でも治水対策の基本は「洪水を河道内で安全に流下させる」ことにおかれていました。それを「どのような洪水にあっても人命を守る」ことを大目標として、①氾濫をできるだけ起こさないための施策、②氾濫が起きても犠牲者を出さないための施策、を基本方針において、ハードとソフトを連携した対策に踏み出しました。

 この背景には、①県財政の悪化により河川改修事業費が10年前に比べて約4分の1に縮小、②県内の多くの河川の安全度は低い状況、③集中豪雨が頻発するなどの気象変動、④限られた予算を有効に行かすため県内の治水安全度の均衡に配慮した河川整備が必要、といった現実があったと説明されました。

 具体的には河川整備の必要性を4ランクに分けたうえで、8圏域ごとに「河川整備計画」の策定に着手しました。現在、32河川がAランクの「中長期整備実施河川」と位置づけられ、そのうち流域面積が50K㎡以上は「戦後最大洪水規模」、それ以下は「10年確率」の安全度を目標に整備計画が作成されています。

芹谷ダムの「中止」を決断

 こうした考えにもとづいた見直しの結果、中止されたのが芹谷(せりたに)ダムです。1963年に予備調査が始まり、1992年から建設事業に着手。全体事業費398億円のうち33億円が執行されています。

 治水安全度の目標は100年確率ですが、ダムが完成しても40年確率の安全度にとどまります。また、同ダムに多額の予算をつぎ込めば、他の河川に予算がまわせず、県全体の河川の治水安全度を高めることができないと判断されました。

 ダム建設と比較して格段に安く(約15億円)、早く実施できる堆積土砂の除去や樹木伐採をすすめて、当面の整備目標(30年確率)を達成することにしました。芹谷ダム建設事業は「河川整備計画」には位置づけない(中止する)ことになったのです。

 ダム建設の見直しにより、予算を他の河川にまわすことができ、県全体の治水安全度を高めることも可能になります。

すべてのダム計画を「見直し」

 滋賀県は、芹谷ダム以外に、北川第一、第二ダムの建設を計画中ですが、こうした考え方に立てば、今後、中止になる可能性は大きいと思われます。

 また滋賀県内では、丹生ダム(水資源開発機構)、大戸川ダム(国交省)の建設計画もすすんでいましたが、いずれも建設見直しの方向が明確になっています。

 このように滋賀県では、5つあったダム建設計画が次々に中止されようとしています。

ダム計画中止の背景にある「県民運動」

 執行部からレクチャーを受けたあと、この間、県議会で一貫して「ダム計画の中止」を求めてきた日本共産党滋賀県議団(森茂樹団長、3人)から、ダム計画の中止にまで追い込んだ県民世論の変化がいかにして生まれたのか、などを中心にお話しをうかがいしました。

 結論的には、この10年間、たたかわれてきた様々な「県民運動」が県政を動かしているという事実です。

 滋賀県では、「びわこ空港」計画があり、自民党など保守層は強引な推進をはかっていました。日本共産党は広範な県民とともに「びわこ空港建設の是非を問う住民投票条例の制定を求める直接請求署名」運動に取り組み、1999年2月県議会に12.3万筆の署名を提出、否決されましたが、翌年には地権者集落の一つが「不同意」を決め、計画はとん挫しました。

 その後も市町村合併に反対する直接請求運動、県立の大型焼却炉建設反対をめぐる町長、町議会リコール運動なども取り組まれ、最近では新幹線栗東新駅に反対する直接請求署名運動が大きく盛り上がり、中止にまで追い込みました。

 嘉田知事が打ち出した「ダム建設の中止」に対しても、自民党などが強く抵抗し、一旦、大きく後退したそうです。しかし、その後の論戦と、2007年県議会議員選挙で「ダム推進」の中心だった自民党が大きく議席を後退させたこともあり、「ダム建設の見直し」の立場に立ち戻ったそうです。

 山口県は今年度事業中に限っても4つのダム建設を進めており、総事業費は1000億円を超え、今年度だけで50億円も使われています。今後も新たなダム建設を計画しています。「いまからでも遅くはない。治水対策を根本から見直させなければ」との思いを強くした行政視察となりました。

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