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●2010年度山口県予算の分析

●古い〝自民党型〟予算から抜け出せず

 山口県は2月23日、2010年度一般会計当初予算案を発表しました。予算規模は7112億円(前年度当初比29億円、0・4%減)とマイナスに転じました(表1)。
 記者会見で二井関成知事は、新政権が家計への直接支援に政策の重点を移したという認識を示し、「国の政策転換に的確に対応し、くらしの安心・安全対策予算の編成に全力で取り組んだ」と力説しました。
しかし、格差と貧困がさらに広がるなかで、緊急課題の雇用創出や福祉施策の拡充策は国に依存して、県独自施策を後退させる一方、公共事業縮減のなかでもムダな大型事業と国体関連予算は聖域とする〝旧来の自民党型〟予算です。(表1)
 特徴と問題点について、日本共産党山口県政策委員長(党県議団事務局長)に聞きました。

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●政権交代で前向きな変化も

 ―新政権下での初めての県予算案です。
 吉田 新政権が家計への直接支援に重点を置こうとしているのは前向きな変化です。
 高校教育の「無償化」はその一つです。公立高校の授業料は無料になりました。しかし、私立高校の就学支援金は年収250万円未満世帯でも年額23万7600円にとどまり、校納金などを含めた「実質的な授業料」(平均36万8千円)には遠くおよびません。

●県独自の軽減対策は切り捨て

 吉田 問題なのは、公私立とも県独自の軽減対策を大幅に後退させたことです。今年度まで低所得世帯を対象に、県立では全額もしくは半額免除する授業料減免制度に3億6千万円、私立では授業料や入学金の一部を補助する特別就学援助制度に3億3800円計上していました(表2)。

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 ところが新年度から公立高校生の軽減制度は実質廃止し、私立の特別就学援助金も一部に限定され、予算は7100万円に激減しました。公立高校の授業料軽減分は、その同額が交付金から差し引かれるため、県にとっては、プラスマイナス・ゼロとなりますが、特別就学援助金の削減額は約2億6600万円になります(表1)。
 さらに私立学校にたいする運営費補助も高校生一人当たり2500円引き下げるなど8千万円カットしました。

●広島県など独自に「無償化」する自治体も

 ―どこも横並びなのでしょうか。
 吉田 広島県は「実質的な授業料」(平均42万4千円)と就学支援金の差額を、年収250万円未満世帯は全額、350万円未満は3分の2を補助する方針を明らかにしています。大阪府や京都府なども同様の施策が検討されています。山口県でも、従来の予算額を上乗せに使えば、広島県と同等の施策は可能なだけに、山口県の冷たさは歴然です。

●福祉医療の有料化も見直さず

 ―福祉医療の見直しは県民の強い願いです。
 吉田 知事は「持続可能な制度とするため」と見直しを拒否しました。改悪前の08年度と比べると4億3700万円も県負担を切り下げています。市町は独自に上乗せして、無料化を継続しています(宇部市は一部)。県民福祉のため、自ら負担すべき費用を市町に転嫁して恥じない県の姿勢は許せません。(表3)。

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 ―補助金カットも止まりません。
 吉田 今年度、各種団体向け補助金を廃止・削減(115件、4500万円)しましたが、新年度もさらに削減します(42件、520万円)。また、子育てや障害者支援など17件の単独補助金も廃止です(影響額2億3千万円)。
 「受益者負担」を名目に職業訓練校の授業料有料化など、1200万円の負担増を見込んでいます。

●「給付増」を逆手に、県制度廃止を検討

 ―知事が、乳幼児医療の見直しを示唆しました。
 吉田 非常に重大な発言です。子ども手当が満額支給されたら、乳幼児医療費助成や多子世帯保育料軽減事業、さらには私学助成も見直しを検討する、という趣旨です。
 子ども手当は、社会全体で子育てを支援するために支給されます。それを理由に、県が支援策を後退させるのは、自治体本来の仕事である「住民福祉の増進」を投げ捨てる発想です。
 こんな暴挙をくい止めるため、大きな県民運動が求められます。

●公共事業は15%も減少

 ―公共事業費は大幅に減少しました。
 吉田 「コンクリートから人へ」を名目に公共事業費(投資的経費)は1104億円(前年当初比203億円、15・5%減)にとどまりました。(表1参照)

●道路事業の半分は高規格道路に

 吉田 公共事業費で、もっともウェートが高いのは道路事業費(296億円)ですが、うち半分の144億円(49%)は、4つの地域高規格道路に投じられます(表4)。
 一方で、改良率が全国43位(60%)と遅れている県道改良費は57億8400万円と08年度(82億5百万円)と比べ3割も減少しています。

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●新たな高速道路網整備は見直しへ

 ―公共事業のあり方に変化の兆しは。
 吉田 新たな高規格道路の建設をめざして実施されてきた「高速道路網調査事業」は、国庫補助が打ち切られ、事業費は2千万円と9百万円減です。調査対象だった柳井玖西道路は、柳井市など地元自治体が「新たな道路より、既存県道の整備促進」に方針転換したことを受け、中止されました(表4)。

●ダム事業費も半減

 吉田 ダム依存の河川行政の転換を公約にした新政権のもとで、県内で建設中の3ダム合わせた事業費も20億円と今年度の半額しか計上されず、平瀬、大河内川ダムの本体工事は先送りされました(表3)。県は、今年夏頃、国交省が示す「ダム事業を検証する基準」にもとづいて、今後のダム事業のあり方を検討するとしています。

●ムダな大型事業を見直すチャンス

 ―ムダな大型事業をストップさせるチャンスですね。
 吉田 政権交代で、自公政権の時代には困難だった県民要求を実現させる可能性は広がっています。ムダな大型事業は見直し・中止に追い込み、県予算の主役を暮らし、福祉に転換させるチャンスです。

●国体関連事業は「聖域」

 ―山口国体は来年に迫りました。
 吉田 急ピッチですすむ競技施設の建設費や運営経費、競技力向上対策費を合わせた国体関連予算は300億円を超えます。一過性のイベントを「聖域」にして、巨額の税金をつぎ込むやり方は常軌を逸しているといわざるを得ません(表4)。
 なかでも競技力向上対策費は、県外の有力選手を招致することにも使われています。二井知事が悲願とする「天皇杯優勝」が目的なら言語道断です。勝利至上主義は本来のスポーツ精神をゆがめるものです。

●雇用も福祉は国の基金頼み

 ―雇用確保の取り組みは。
 吉田 離職者に対し、つなぎ就労の機会を提供する雇用創出事業は21億3千万円投じ、1432人分の雇用をつくります。安定的な雇用創出をめざすふるさと雇用再生事業は6億円で177人の雇用を計画しています。中小企業の経営を守るための制度融資は今年度並みが確保されています。
 ―子育て・教育の分野で前進は。
 吉田 子育て支援では、市町の創意ある取り組みや施設整備、児童クラブの運営費補助の拡大などが盛り込まれました(表6)。
 問題もあります。雇用も子育て支援も財源は国の「基金」頼みで、期間限定です。必要な予算は国の責任で恒常的に保証すべきです。

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●35人学級化は着実に前進

 ―少人数学級は前進しました。
 吉田 中学校は全学年で、小学校も4年生まで35人以下学級となります。しかし、非常勤の先生が増えているのは問題です。正規教員の増員を求めていく必要があります。

●「地域主権」は名ばかり

 地方交付税の拡充と大型事業の見直しは急務

 【解説】地域主権をかかげて誕生した新政権のもとで、地方への手厚い財政措置が期待されましたが、県予算案を見る限り、前向きの変化はありません。
 地方交付税は2330億円と192億円(9%)増ですが、県税の減収275億円はカバーできていません。しかも交付税の約3割の659億円は臨時財政対策債という「赤字県債」が充てられています(図1)。元利返済は100%交付税で措置されますが、借金(県債)には変わりありません。

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 自公政権時代から続く、国の場たり的な財政運営と、借金に頼ってムダな大型事業を続けた結果、山口県の県債残高は1兆2350億円に膨れあがりました。当初予算額の一・七倍にのぼる異常な事態です。
 山口県は土地開発、道路、住宅供給の三公社を2011年度末までに廃止する方針を明らかにしました。三公社はそれぞれ過大な投資を行ったため、300億円を超える債務をかかえており、廃止に伴い、新たな県債発行を余儀なくされると県債残高がさらに膨らむ恐れがあります。
 この責任は歴代政府と県当局が負うべきものです。借金のツケを県民に押しつけることは許されません。
 新政権に対し、過去の臨時財政対策債の償還は国の責任で行うよう求めるとともに、借金頼みのムダな公共事業はキッパリと中止し、「住民福祉の増進」を第一とする県政に転換する時です。

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